バックナンバー53号(2021年)

53号(2021年)


巻頭言 「未来の当たり前をつくる企業~ Pioneering the future ~」

代表取締役社長 近藤 忠登史


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製品紹介 ローカル 5G システムによる洋上 IoT 実現のための実証

当社は,2020 年度よりローカル 5G を用いたシステム構築事業に取り組んでいる。この度,ローカル 5G の実証実験およびユースケース開拓の機会として,2020 年 3 月に総務省で実施された“令和 2 年度予算 IoT の安心・安全かつ適正な利用環境の構築”に係る提案の公募に,愛媛大学,愛媛県,及び株式会社 NTT ドコモとのコンソーシアムで参加し,採択された。本稿では,ローカル 5G システムを通信インフラとした高画質な映像伝送の成功,および洋上における電波伝搬に関して得られた知見について紹介する。なお,Sub6 帯・Stand Alone 構成のローカル 5G システムによる洋上での実験試験免許取得は,国内初の事例となった。


製品紹介 ローカル 5G のためのエリア設計ソリューションの紹介

当社はローカル 5G 事業を本格的に進め,「DKK ローカル 5G 導入コンサルティングサービス」の提供を開始している。本稿では,そのサービスの一つであるエリア設計ソリューションの概要について紹介する。


製品紹介 ローカル 5G 向け 28GHz 帯無線装置の開発

ローカル 5G は,企業や自治体など全国でサービスを提供する移動通信事業者以外が 5G に対応した専用の無線ネットワークを構築・利用できる。当社では 28GHz 帯のローカル 5G 向けシステムの開発を行っており,サービスエリア構築の重要な要素であるアンテナと無線装置を独自に開発してきた。本稿では,当社が提供するローカル5G システム向けに開発した 28GHz 帯無線装置の概要と性能について紹介する。


製品紹介 5G 対応 RF レピータの開発

2020 年 3 月より国内で 5G の商用サービスが開始された。当社では,5G のサービスエリア拡張に有効な RF * 1 レピータ(以下,レピータとする)の開発を行っている。本稿では,開発した 3.7GHz 帯および 28GHz 帯レピータの特長と無線特性について紹介する。*1 RF:Radio Frequency


論文 28GHz におけるアンテナの違いに対する伝搬特性

ローカル 5G における 28GHz 帯のエリア設計を目的として,工場敷地の屋外エリアと屋内エリアについてアンテナの種類を変えて伝搬測定を行い,異なるアンテナで送信した場合の受信電力の違いを示し,送受信間距離に対するパスロスの結果について3GPP のチャネルモデルとの比較を行った.屋外での測定結果より,パスロスはアンテナの種類によらず UMi のモデルでほぼ表現でき,また,屋内での測定結果より,無指向性アンテナの場合のパスロスは InF のモデルでほぼ表現できるが,指向性が鋭いホーンアンテナの場合においてはモデルから離れる結果となった。本論文は,2021 年 2 月発行の電子情報通信学会技術研究報告の同タイトルの研究報告(AP2020-126, pp.56-61)を加筆・転載したものである(copyright©2021 IEICE)。


論文 十字型共振器を用いた 28GHz 帯偏波共用反射型メタサーフェスの開発

本稿では,28GHz 帯偏波共用反射型メタサーフェスの設計について述べる。メタサーフェスは反射位相を制御するため,異なる大きさの十字型共振器を周期的に配列し構成される。今回,入射角 θi=0° の垂直偏波および水平偏波を反射角 θr=70°へ反射させるメタサーフェスを開発した。θr=70° の大きな反射角を実現しつつ,サイドローブレベルは 10dB 以下を達成している。


製品紹介 近傍界指向性測定システム

アンテナ指向性測定装置として,当社鹿沼工場に新たに近傍界測定システム SG64Lを導入した。本測定システムは,アンテナ近傍の電界強度と位相から遠方界指向性を求める測定システムであり,比較的狭い電波暗室でも大口径アンテナの遠方界指向性を測定することができる。本稿では,その装置概要と仕様について紹介する。


製品紹介 地上波 4K・8K 実験局用偏波共用アンテナの製品化

当社では 2019 年度に,地上波による 4K・8K など放送サービスの高度化の調査検討を目的とした福岡実験試験局整備を受注した。放送用送信アンテナは,これまで水平偏波または垂直偏波の単一偏波アンテナが使用されてきた。しかし,同実験局向けに要求されたアンテナは,UHF 帯 4 ダイポールアンテナ相当の性能を有する偏波共用アンテナであるため,新規に開発し製品化を行った。本稿では開発した製品の概要について報告する


製品紹介 大型傾斜空中線支持フレーム

本稿は,日本電気株式会社殿より受注した大型傾斜空中線支持フレームの設計・製作・検査業務を紹介するものである。当社の扱う従来の鉄塔等鋼構造物に比べ,高い製品精度の要求への対応が必須であり,設計・製作・検査各工程において,様々な協議,検討を重ね,要求性能を満足する製品構築を達成した。本製品と同様な製品精度への対応は,当社の鉄構関連事業において事業範囲拡張に寄与し,今後の受注拡大へも期待されるものである。


製品紹介 東日本放送殿新社屋 ねじれ構造鉄塔(構造設計から製品製作)の紹介

本稿は,株式会社東日本放送殿の新社屋屋上に搭載する四角断面 25m 鋼管鉄塔の設計・製作について紹介するものである。本鉄塔は,意匠性を高めることを目的に,主柱材を斜め配置するねじれ444形状を採用しているため,主柱材配置により制約された鉄塔内空間を有効に活用することが求められた。そのため,設計・製作各段階において様々な協議・検討が重ねられ,製品構築が実現した。従来の鉄塔構造とは異なる特異な構造への対応であり,特筆される事例として紹介する。


製品紹介 太陽光発電所火災監視カメラシステム画像解析を用いたソフトウェアの構築

再生可能エネルギー分野において,近年太陽光発電所での設備火災が問題となっている。当社はカメラでの 映像監視に付加機能を追加して,赤外線サーマルカメラの温度検知機能と画像解析による,火災監視用ソフトウェアを作成した。本稿では,当社独自のソフトウェアを用いた火災監視システムの詳細について紹介する。


製品紹介 クランクシャフト スプリットピン高周波焼入方法

スプリット形状のワークを高周波焼入れする課題として,連結するピン部が焼鈍りを起こす,位相がずれているために過熱による溶融が発生することなどが挙げられる。今回は,それらの課題を,焼入コイルの工夫と高周波電流の特性を生かすことで解決した。本方法については特許登録を行い,設備納入も果たしたので紹介する。


製品紹介 多品種インボードアウター焼入装置の改良

多品種対応のインボードアウター装置を受注したため,従来の装置より短時間で加工でき,かつ短時間で機種切り替え作業が完了できる装置を開発した。この装置は,加熱と冷却を別位置に分けて処理することで短時間加工を可能とした。さらに機種切り替えにおいては,従来の装置では部品を交換することで対応していたが,治具の電動開閉機構やボルトを使用しない固定方法を開発することで,作業時間を従来の半分に短縮させた。本稿では,短時間加工を達成した方法の説明と,新たに開発した機種切り替え機構を紹介する。


2020年に取得した産業財産権


社外発表および論文紹介