バックナンバー52号(2020年)

52号(2020年)


巻頭言 「70周年記念号に寄せて『ノウハウ』」

執行役員 浅井 貴史


寄稿論文 MIMO 伝送を用いた基地局アンテナ構成法に関する研究

筆者は,2016 年 10 月に新潟大学大学院 自然科学研究科 博士後期課程 電気情報工学専攻に入学し,西森健太郎研究教授のご指導のもと,2019 年 9 月に博士(工学)の学位を授与された。博士論文のテーマは,「MIMO 伝送を用いた基地局アンテナ構成法に関する研究」である。その論文の概要について紹介する。


論文 5G に向けた無線機一体型基地局アンテナに関する取り組み

本稿では,5G に向けて当社が取り組んできた無線機一体型基地局アンテナについて述べる。28GHz 帯ビームフォーミングアンテナの開発を行い,実機にて±30° の範囲でのビームステアリングを実現した。無線機一体型アンテナを用いた,OTA*1 測定に関する検討を行った。EIRP*2・受信電力パターンとアンテナ指向性はほぼ一致しており,無線機一体型でのアンテナ指向性の推定が可能であることを示した。*1 OTA:Over The Air


論文 マイクロ波電力伝送の標準化に関する取り組み

本稿では,マイクロ波を使用したワイヤレス電力伝送の国内法制化及び国際標準化の動向と取り組みについて報告する。また,当社が参画している戦略的イノベーション創造プログラムの取り組みについても併せて報告する。


論文 移動通信基地局用メタマテリアルアンテナ に関する取組み

当社では,従来にない新発想のアンテナ開発,および製品付加価値の向上を目的として,「メタマテリアル技術」を用いた製品開発に取り組んできた。その成果として,スモールセル向け「メタロッドアンテナ」の製品化,および「メタセクタアンテナ」の開発に成功した。しかしながら,これら「メタマテリアル技術」を用いたアンテナにおい
ては,動作帯域幅が狭いなど需要拡大に向けた課題が残されている。現在,課題解決に向けて「広帯域化」および「周波数共用化」に向けた取り組みを進めているので報告する。


技術紹介 ローカル 5G 事業に向けた28GHz 帯伝搬実験の取組み

当社は,ローカル 5G の事業化の検討の一環として,28GHz 帯の実験試験局の免許を取得し,伝搬試験を開始している。本稿では,その実験試験局の概要について紹介する。


技術紹介 3D プリンタ製の誘導加熱コイル

誘導加熱用コイルの製作で,金属 3D プリンタを使用したコイル製作の開発を進め,純銅粉末での造形が難しいレーザー式金属 3D プリンタを使用して,銅合金粉末での造形評価を繰り返し行った。その結果,現在製作している誘導加熱用コイルと同等の性能・耐久性を持つコイル造形に成功し,現状のコイル製作時間を大幅に短縮することが可能で,複雑形状のコイルでも一定時間内での製作ができるようになった。


製品紹介 北米向けストリートセル用 Bi-Sector/Tri-Sector アンテナ

北米の移動通信市場では,通信速度を高速化するために,LAA*1 技術を使用するサービスが,スモールセル局を中心に始まっている。これまで,当社では,北米向けとして,LAA対応のストリートセル用Cardioid/Omniアンテナ2機種の製品化を行ったが,さらなる市場拡大を目的として,新たに,セクタごとに独立チルト角設定が可能なアンテナの開発を行った。本稿では,開発したストリートセル用 Bi-Sector/Tri Sector アンテナ 2 機種について紹介する。


製品紹介 高度 MCA 用アンテナの製品化

2021 年 4 月から運用開始される高度 MCA は,国際的に標準化された LTE 技術を適用した共同利用型の自営無線システムであり,高い耐災害性,信頼性を持ち,低コスト・高セキュリティで利便性に優れた業務用無線である。現在,高度 MCA の運用に向けた中継局整備が進められているが,当社は携帯電話基地局用アンテナの開発技術を生かして高度MCA用セクタアンテナの開発に取り組み,2019 年度までに 4 機種のアンテナの製品化を行った。本稿では,新たに製品化した 2 機種のアンテナを紹介する。


製品紹介 400MHz 帯高利得 7 素子八木アンテナ

400MHz 帯災害対策用加入者系無線システムは,災害発生時に NTT ビルに設置される基地局から避難所等に設置される端末局間を無線接続することで通信インフラを確保するためのものである。このシステムに使用されるアンテナは,使用目的から可搬性や設営性が重要となり,現行品の 8 素子八木アンテナより軽量かつ小型化が求められていた。そのため,400MHz 帯高利得 7 素子八木アンテナを開発,製品化した。本稿では,製品化したアンテナを紹介する。


製品紹介 SHV FPU 用 42GHz 帯パラボラアンテナ

放送事業者において 4K・8K*1 番組素材伝送にも対応できる次世代 FPU*2 の開発・実運用化が進められている。番組素材伝送用に割り当てられている周波数帯の 1 つにミリ波帯の 42GHz 帯があり,2018 年に 4K・8K 伝送用の42GHz 帯アンテナ設備の引き合いが得られた。今回,アンテナ開口能率の向上を図る為,副反射鏡は鏡面修正カーブを採用し,副反射鏡を 4 本のステーで支持する構造に改良することで,客先要求を満足させることができた。本報告ではアンテナの仕様,構造などについて報告する。
*1 4K・8K:次世代の映像規格で,4K は現行ハイビジョンの 4 倍,8K は 16 倍の画素数
*2 FPU:Field Pickup Unit 放送局外から映像・音声素材を放送スタジオへ伝送する無線中継伝送装置


製品紹介 鍛造ラック調質実験装置の開発

鍛造ラックは,鍛造前の軟化焼鈍と鍛造処理のため,金属組織が不均一となる。しかし,鍛造後工程で高周波焼入れを行うためには,金属組織の均一化を図る必要がある。金属組織均一化処理のことを調質といい,従来は電気炉で行っていた。今回,鍛造ラックの調質を,電気炉から高周波誘導加熱への切替えを検討していた顧客への実験装置の受注・納入を実現したため,報告する。


製品紹介 TRB 焼入設備

TRB*1 の内周・外周・ヌスミの 3 か所を,発振機 3 台で,同一周波数によって,同時加熱するテスト装置の設備を納品した。発振機 3 台を用い,同一ワークに近接した状態のコイル 3 台を同時発振する設備は他にない。そこで,干渉シミュレーション・予備試験を行った後,設備を製作・納品した。*1 TRB:テーパーローラーベアリング


製品紹介 電源部一体型高光度航空障害灯

当社は,海外市場で航空障害灯の設計・製造を手がけるメーカと共同で,日本国内向け LED 航空障害灯の開発・販売に取り組んでいる。LED 航空障害灯の販売には,それぞれの灯器について,国土交通省の承認を取得する必要がある。当社は,これまで多様な顧客のニーズに応えるため,高光度(電源部分離型),中光度白色/赤色(電源部分離型および電源部一体型),中光度赤色(電源部一体型),低光度(電源部一体型)と航空障害灯のラインナップを取り揃えてきた。本稿では,2019 年度に新たに国土交通省の承認を取得した,高光度航空障害灯(電源部一体型)の概要について紹介する。


創立70周年記念特集 移動通信の取り組み


創立70周年記念特集 固定通信の取り組み


創立70周年記念特集 放送の取り組み


創立70周年記念特集 マイクロ波通信の取り組み


創立70周年記念特集 鉄塔事業への取り組み


創立70周年記念特集 高周波事業への取り組み


トピックス 「文部科学大臣表彰『科学技術賞』受賞」


2019 年に取得した工業所有権


社外発表および論文紹介