電気興業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:近藤忠登史)は、さらなる高速大容量通信が求められる6G時代で利用が検討されているサブテラヘルツ帯の水平偏波オムニアンテナの設計に世界で初めて成功(※)したこと、および本アンテナ開発の成果に対し、当社社員が一般社団法人電子情報通信学会のアンテナ・伝播研究専門委員会(以下、AP研)より、2023年度下期若手奨励賞を受賞したことをお知らせします。
サブテラヘルツ帯(約100~300GHz帯)の電波は5Gのミリ波(28GHz帯)と比較すると10倍の通信速度が期待できるといわれており、6Gでの標準化に向けた検討が盛んに行われています。当社もかねてからサブテラヘルツ帯の研究開発を進めており、150・300GHz帯の垂直偏波オムニアンテナ(偏波方向が垂直で全方向に電波を放射するアンテナ)の開発は2022年度に完了しております。これらは、すでに製品化し複数の納入実績もございます。
一方、標準化の検討を進めていく中で、サブテラヘルツ帯においては垂直偏波と水平偏波で特性に違いがあることが明らかになり、通信業界では300GHz帯の水平偏波アンテナの開発が待ち望まれていました。そこで当社は300GHz帯水平偏波オムニアンテナ(偏波方向が水平で全方向に電波を放射するアンテナ)の設計と電磁界解析によるシミュレーションでの性能確認に世界で初めて成功(※)しました。また、その内容に関するAP研における成果発表により、本アンテナの開発担当社員が「2023年度下期若手奨励賞」を受賞することとなりました。当該アンテナ、シミュレーションの結果等についての詳細は別紙をご参照ください。
300GHz帯水平偏波オムニアンテナについては、シミュレーション結果をもとに試験機の製作、計測などの実証実験を行い、今年度中の製品化に向けた開発を進めてまいります。これにより、電波伝搬実験の幅が増えることとなり、サブテラヘルツ帯の標準化が促進されていくこととなります。
当社はこの世界初(※)の取り組みを通じ、サブテラヘルツ帯の標準化・利活用に引き続き貢献し、通信業界の発展に寄与してまいります。
※「世界初」、「世界で初めて成功」については当社調べ。当社にて国内外の専門誌、発表等を調査し、同様の取り組みが確認
できなかったことから上記の表現を用いています。
【別紙】
1.300GHz帯水平偏波オムニアンテナの外観図
※上記の外観図は設計上のイメージであり、今後製作する試験機、実機と外観・サイズなどが異なる可能性があります。
2.シミュレーションの概要と結果
【シミュレーション概要】
サブテラヘルツ帯の中でも高域である280~330GHz帯域で下記をシミュレーション
①水平面での指向性
②VSWR(定在波比)
①水平面での指向性の確認結果
②VSWR(定在波比)の確認
【シミュレーション結果】
上記2点の結果から、広帯域で動作する良好な反射特性およびオムニ指向性が得られることを確認した。
3.AP研「2023年度下期若手奨励賞」受賞者と受賞者のコメント
受賞者: R&D統括センターワイヤレス研究所アンテナ開発課 市川 舜太(いちかわ しゅんた)
コメント:この度は、AP研若手奨励賞を授与いただき大変光栄に存じます。今後とも、最新の研究で要求されるアンテナや社会ニーズに沿ったアンテナをいち早く提供できるよう研究・開発により一層、精進してまいる所存でございます。
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